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『希望の地図』読了。この作品が小説である意味。
評価:
重松 清
幻冬舎
¥ 1,365
(2012-03-09)

「被災地」は、今……。
「震災後」の時代の始まりと、私たちの新しい一歩を描いた渾身のドキュメントノベル!

2011年3月11日。人々の価値観や生き方が、大きく変えられてしまった「あの日」。それでも人には、次の世代につなげるべきものがある。いわき、石巻、気仙沼、南三陸、釜石、大船渡、そして福島・飯舘。幾度となく被災地に足を運んだライター・田村章と、中学受験に失敗し不登校になってしまった少年。二人は、そこでどんな人に出会い、どんな涙を流し、どんな新たな幸福への道すじを見つけたのか。去ってゆく者、遺された者の物語を書き続けてきた著者が、「希望」だけでも「絶望」だけでも語れない現実を、被災地への徹底取材により紡ぎ出し、「震災後」の時代の始まりと私たちの新しい一歩を描いた渾身のドキュメントノベル!
AMAZONより引用

なかなか、興味深い内容だったので、久々にブログにも感想を残しておこうと思います。

一応、小説ということになっていますが、主人公の不登校の中学生・光司とその家族以外はおそらくすべて実在する人物。そこで描かれている出来事もすべて取材に基づく事実だと思います。ちなみに「田村章」は重松清のペンネームの一つということなので、実際に作者自身が取材したことなのでしょう。

「ドキュメント・ノベル」ということで、主人公の光司に関する部分はおそらくはフィクションで。それ以外はノンフィクション。割合としてははフィクションが3、ノンフィクションが7くらいでしょうか?

被災地を巡り、田村と一緒に「希望の地図」を描く中で、光司が変わっていくという物語を、震災の復興と重ねて描いている点については、批判もあるんじゃないかと思います。作者自身も作中でその是非については、読書に判断を委ねているような書き方をしている部分があります。

僕としても、必ずしもフィクション部分とノンフィクション部分が上手くかみ合っているか?と問われれば、疑問はありますが、これを単にルポとしてではなく、小説として発表したことには意味があると思います。

震災関連の本を何冊か読み、テレビなどでも被災地の情報は目にしてきました。ただ、やっぱり僕にとって、それはどこか遠い世界の話のように思えたのも事実です。

この作品では、被災地の状況を主人公・光司の目を通して描いていて、彼が見聞きしたことについて、彼の思いが吐露されます。光司は実際に被災地から離れた東京の中学生ですから、言ってみれば、僕と同様に被災地を「どこか遠い世界」だと感じている少年です。

そして、この物語はその立場にいる者に、「果たして何ができるのか?」を問いかけてきます。

これは小説という形式をとって、主人公に光司という少年を配置したからこそ、成立している問いかけではないでしょうか?

様々な意味で自分とは遠い場所で展開する物語の中に入っていけることが、フィクションの強みではないかと僕は思っていて、この作品は強みを生かそうとしています。

物語化してしまうことで様々な演出が入り、事実を歪めてしまう危険性はあるでしょう。しかし、物語となることで、より広くそれが伝わっていくのも、また事実ではないでしょうか?

……大切な記憶や思いが、リレーのバトンをつなぐように受け渡されていけばいい。

作中で出てくる言葉です。
この小説は、今、書かれたことに意味があると思います。
そして、より広くこの物語は届けられるべきだと思います。

出来れば、この作品の続編を書いて欲しいとです。
1年後、3年後、5年後、10年後……成長した光司の目を通して、同じ場所、同じ人々の「現在」を描き、語り継いで欲しいです。

あと、この小説の主人公・光司と同世代で、なおかつ今回の震災を「どこか遠い世界」だと感じている子供たちにも読ませてみたいですね。




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